つん)” の例文
部屋一パイにこめて居るのは、七味唐辛子たうがらしをブチけたやうな、凄い煙で、その煙をつんざいて、稻妻の走ると見たのは、雨戸から障子へ燃え移つたほのほです。
其勇ましいうめきの声が、真上の空をつんざいて、落ちて四周あたりの山を動し、反ツて数知れぬ人のこうべれさせて、響のなみ澎湃はうはいと、東に溢れ西に漲り、いらかを圧し
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
肉をつんざく鋭刄に打たれて堪うるものならず、 510
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
一彎の長汀ただ寂莫として、砕くる浪の咆哮が、容赦もなく人の心をつんざく。黒一点の楠野君の姿さへ、見る程に見る程に遠ざかツて行く。肇さんの頭は低く垂れた。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
と天地も崩るる音、ほのおは目の前にカッと大気をつんざいて、巨大な綿を束ねたような白い煙が大地から湧き上ると同時に、石も、木も、人も、土くれも、一ぺんに八方へ飛び散ります。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
斯くして頸より又背より肩は無慘につんざかる。
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)