出盛でざか)” の例文
当日の夜はまた一層の人出で、八時から九時頃にかけて出盛でざかる。今日のように社の前を電車が通ってはおりません。
……夜あかしだと聞く怪談には、この時刻が出盛でざかりで、村祭のなわてぐらいは人足ひとあしが落合うだろう。くるまも並んでいるだろう、……は大あて違い。ただの一台も見当らない。前の広場も暗かった。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
然しなつかしい曉きもろこしのにほひはどこにもしなかつたばかりでなく、カイベツの出盛でざかりにはカイベツ。林檎、もろこしの盛りには林檎、もろこし。ココア、くるみのにはココア、くるみ。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)