冴々さえ/″\)” の例文
三四郎は新らしい四角な帽子をかぶつてゐる。此帽子をかぶつて病院に行けるのが一寸ちよつと得意である。冴々さえ/″\しい顔をして野々宮君のいへを出た。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その傍には根本家と記した高張提燈たかはりぢやうちんが、月が冴々さえ/″\しく満面に照り渡つて居るにもかゝはらず、極めておぼろげに立てられてあるが、自分はそれと聞いて、驚いて、其傍に駆付かけつけて
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
色光沢いろつやも殆んどもとの様に冴々さえ/″\して見える日が多いので、当人もよろこんでゐると、帰る一ヶ月ばかり前から、又血色けつしよくが悪くなりした。然し医者の話によると、今度のは心臓のためではない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)