円卓テエブル)” の例文
和田は酔眼すいがんを輝かせながら、声のない一座を見まわした。が、藤井はいつのまにか、円卓テエブルに首を垂らしたなり、気楽そうにぐっすりこんでいた。
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ぬのを掲げた部屋の中には大きい黒檀こくたん円卓テエブルに、美しい支那しなの少女が一人ひとり白衣びやくえ両肘りやうひぢをもたせてゐた。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
藤井ふじいと云う弁護士は、老酒ラオチュさかずきしてから、大仰おおぎょうに一同の顔を見まわした。円卓テエブルのまわりを囲んでいるのは同じ学校の寄宿舎にいた、我々六人の中年者ちゅうねんものである。
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わたしは足音を盗みながら、円卓テエブルの前へ歩み寄つた。少女はそれでも身ぢろぎをしない。大きい黒檀の円卓テエブル丁度ちやうど澄み渡つた水のやうに、ひつそりと少女をうつしてゐる。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)