円卓子まるテーブル)” の例文
旧字:圓卓子
円卓子まるテーブルを中心にして、奥の箪笥の前にふき子が例の緑色椅子にいる。忠一が持って来たクラシックを熱心に繰っていた。
明るい海浜 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
あの厭に大げさな円卓子まるテーブルなのだが——彼処にゐたことのあるFの一家が忘れて行つたまゝのものだが——敬意に対してあの円卓子では台なしぢやなからうか
円卓子での話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
七人の真中には、これも緋色の天鵞絨でおおわれた一つの大きな円卓子まるテーブルの上に、古風な彫刻のある燭台しょくだいにさされた、三挺さんちょうの太い蝋燭ろうそくがユラユラとかすかに揺れながら燃えていた。
赤い部屋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
会議がはじまるときには、十三人の会員が全部揃って、粛々しゅくしゅく円卓子まるテーブルまわりをとりかこんだ。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
弾機ばねもない堅い椅子が四五脚、むき出しの円卓子まるテーブルの周囲に乱雑に置いてあった。その一つを腰の下に引きよせるや否や、ブーキン夫人は新しい勢いで云いだした。
(新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「酒は一切卓子テーブルでは止めた方が好いかも知れないね、円卓子まるテーブルの縁であの村長に酔はれたら困るからね。」
円卓子での話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
そして、両手でこの大きな円卓子まるテーブルを、しっかりとおさえていてください。しっかりつかまっていないと、あとで舌をんだり、ひっくりかえって腰をうったりしますよ。はい、今うごきます。
「お言葉を邪魔します——この円卓子まるテーブルの一騎士に、あなたの悲しみのために満身の力を込めて、吾楯をとり、剣をふるふことが叶ふであらう幸福を与へて下さい。」
〔モダン紳士十誡〕 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)