共白髪ともしらが)” の例文
このたびこそは幾久敷いくひさしくお家もさかえ、共白髪ともしらがのすえまでもおそいとげなされますようにと、たゞそればかりをおいのり申しておりました。
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「アラ葛ざくらなんか。じゃ、こっちの有信亭の共白髪ともしらがのほうがオツでさあね。ね、ほら、アーンと口をお開きなさいよ」
円朝花火 (新字新仮名) / 正岡容(著)
迎えたる賓客にわが幸福の一分いちぶを与え、送り出す朋友ほうゆうにわが幸福の一分を与えて、残る幸福に共白髪ともしらがの長き末までをふけるべく、新らしいのである、また美くしいのである。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
別れた、女も別れる言うてますとうまく親父を欺して貰うだけのものはもろたら、あとは廃嫡でも灰神楽はいかぐらでも、その金で気楽な商売でもやって二人末永すえなご共白髪ともしらがまで暮そうやないか。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
これは人情の自然、まことに止むを得ないところで、エイ子にはビー子とシー子の存在を秘密にして偕老同穴かいろうどうけつを誓っている。ビー子にはエイ子とシー子の事に就いて口を拭うて共白髪ともしらがを誓う。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)