六月むつき)” の例文
六月むつきやそこいらで、そう育っているのでは、お産がさぞ重いでしょうね。」叔母はまた自分の年取っていることを気にした。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
いくら国もとの方へ手紙を出しましても、もう六月むつきというもの返事もありません。きっと母親も死んだに違いありません。
彼女は其時已に六月むつき身重みおもであった。今年の春男子を挙げたと云うたよりがあった。今日のそのは実に突然である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その子は生まれて六月むつき目に人にさらわれてしまった。それからどうしたかかいもく行くえがわからなかった。
「キキイもやつぱり売る女ですよ。しかし冬から姙娠して居ます。もう六月むつき目ですの。」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
それからは何もかもひとの言うなりになって、霜月なかばに祝儀をしたけれど、民子の心持がほんとうの承知でないから、向うでもいくらかいや気になり、民子は身持になったが、六月むつきでおりてしまった。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
石婦うまずめと呼ばれし者も身重みおもになりてはや六月むつきとなりぬ。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
こうしてが六月むつきが過ぎて行った。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)