八重山やえやま)” の例文
だが外来の手法や紋様の模倣に終らず、琉球独自の美しさを示した。ただに主府首里しゅりを中心としてのみならず、八重山やえやま群島や、宮古みやこ群島においても同じ発達を見た。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
八重山やえやま諸島の節祭せちまつりの歌と行事、一方には宮古島みやこじま世積よづ綾船あやふねの古伝等に引きくらべて、私は今改めてニライという海上の浄土のことを考えてみようとしているのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
宮古みやこ八重山やえやま大阿母おおあもなどは、危険の最も多い荒海を渡って、一生に一度の参覲さんきんつつがなくなしとげることを、神々の殊なる恩寵おんちょうと解し、また常民に望まれぬ光栄としていた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
特に八重山やえやまの如きは、民謡の王国といってもよいでありましょう。何しろ沖縄の音楽や踊は日々の暮しの中にみ込んでいて、むしろ暮しがそれらのものの中にあるのだといってよいと思います。
沖縄の思い出 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
雪深き国の多くの町で正月十五日にこれを行う他に、朝鮮半島においても同じ日をもってこの式があり、南は沖縄八重山やえやまの島々にも、日はちがうが全然同じ勝負が行われていた。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
沖縄の本島などでは、土地でも手に入る場合があろうのに、更に商品として八重山やえやま方面から、いわゆる椰子小やしぐわの輸送せられたものが、幾らも店先で売られていたという話も聴いた。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
北からずっと一遍に南の方まで航行して、信覚しんかくと書いた石垣いしがきまで行ったのである。信覚にあたる地名は八重山やえやまにしかないのだから、彼処かしこと早くから往来していたと見なければならない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
スリコギのコギは小杵こぎねであるが、八重山やえやまの島などでは是をダイバノブトと謂う。ダイバはライバンのなまりですなわち擂盆らいぼん。ブトはヲットであるから擂鉢の夫ということに帰着するのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
籾の屑ではないが、籾そのものをシラという言葉は八重山やえやま諸島にもある。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)