兜虫かぶとむし)” の例文
それ、あの兜虫かぶとむしのような奴さ。東京でも子供がかなぶんぶんと云って、つかまえておもちゃにするのだ。あいつが来るのだね
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
中橋氏は不足さうに独語ひとりごとを言つた。そして自分が間違つて文部にでも入つたら、乾分こぶんの山岡順太郎氏などは、あの兜虫かぶとむしのやうな顔をしかめて、屹度ぼやき出すに相違ないと思つた。
まっかな幽霊の大撥条おおばねはもうこわれている。今や人はすべてそれを知っている。今はだれもその張子はりこを恐れない。小鳥はその案山子かかしになれ、兜虫かぶとむしはその上にとまり、市民はそれを笑っている。