兄事けいじ)” の例文
頭脳の明晰めいせきと相まって、その心は広く厚く、老成した君子のおもかげがある。広太郎ほどの人間でも、舞二郎には一目置き、むしろ兄事けいじしているのである。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大河に気おくれして仕事がにぶってもならないし、かといって、大河に心で兄事けいじすることを忘れてもならない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
この老実のげんすは、今は四年よとせの昔間貫一はざまかんいち兄事けいじせし同窓の荒尾譲介あらおじようすけなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
朝倉先生が学生時代から兄事けいじ崇拝すうはいさえしていた同郷の先輩で、官界の偉材いざい、というよりは大衆青年の父と呼ばれ、若い国民の大導師だいどうしとさえ呼ばれている社会教育の大先覚者で
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)