傳言ことづて)” の例文
新字:伝言
お定は呆然ぼんやりと門口に立つて、見るともなく其を見てゐると、大工の家のお八重の小さな妹が驅けて來て、一寸來て呉れといふ姉の傳言ことづてを傳へた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
眞つ直ぐに兩國へかゝると、橋のたもとで何處かの小僧さんが待つて居て、『増屋の主人が小梅こうめれうに居るから、其方そつちへ持つて行くやうに』といふ傳言ことづてです
「俵屋の金之助の傳言ことづてを持つて來たのだよ、まア、一つしやくをしてくれ、呑みながらゆつくり話さうぢやないか」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「そんな事はどうでも構やしません、——その榮吉の使ひが今朝あつしのところへ飛んで來て、お孃さんが殺されたに違ひないから直ぐ來るやうにと言ふ傳言ことづてだ」
「驚くでせう、こいつは。あつしのところへ知らせて來たのは、まだ夜が明けたばかりの時だ。親分へ傳言ことづてをやつて、叔母さんに朝のおさいを頼んで飛んで行つて見ると——」
「まア、當時高名の錢形の親分さんかえ。ではお奉行樣にお傳言ことづてを願ひますよ」
父さん、皆んな申上げた方が宜いでせう、——染吉さんは久し振りで逢つて話し度いことがあるから、父さんには内證ないしよで、私に酉刻むつ半頃(七時)お稻荷樣まで來るやうにと、酒屋の小僧さんに頼んで傳言ことづて
お係り同心の近藤常平樣のお傳言ことづてですが
外ぢや御座いませんが、萬七の傳言ことづて