傲岸不遜ごうがんふそん)” の例文
「愚老、大槻玄卿でござる」こう云って坐って一礼したが、傲岸不遜ごうがんふそんの人間と見え、床の間を背にして坐ったものである。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その内に大井は何かの拍子ひょうしに、ぐるりとこちらへ振返った。顔を見ると、例のごとく傲岸不遜ごうがんふそんな表情があった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
どんな小説を読ませても、はじめの二三行をはしり読みしたばかりで、もうその小説の楽屋裏を見抜いてしまったかのように、鼻で笑って巻を閉じる傲岸不遜ごうがんふそんの男がいた。
猿面冠者 (新字新仮名) / 太宰治(著)
日頃傲岸不遜ごうがんふそんな、人を人とも思わない勝平であるにもかかわらず、話しかけようとする言葉が、一つ/\咽喉のどにからんでしまって、小娘か何かのように、その四十男のおおきい顔が
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
有情無形うじょうむぎょう」と大書した横額よこがくの下に、大身の客のまえをもはばからず、厚いしとねにドッカリあぐらをかいている、傲岸不遜ごうがんふそん大兵だいひょうの人物、これが源助町乱暴者の隊長とでもいうべき神保造酒先生で
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
五のころは最も自惚うぬぼれの強いものだそうであるが、それでなくともこの浅田は、氏育ち少しくまされるを鼻にかけ、いまは落ちぶれて人足仲間にはいっていても、傲岸不遜ごうがんふそんにして長上をあなどり
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)