すぐ)” の例文
もっと既にこの時世界の不況は大英の財界にも押し寄せて来て、彼の顧問会社の脈搏不整はこのすぐれた財政家に騎士時代の革財布を丹念につくろうような閑道楽を許さなくなってもいた。
バットクラス (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
なるほど、このすぐれた生理学者は、黒船の心臓を生かすことは出来ないのだ。僕は
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
私はファラーの「トスカ」を見ましたがそのすぐれた芸術には敬服しました。
お蝶夫人 (新字新仮名) / 三浦環(著)
その他の友達。そしておかしなことにはかの女自身まで——かの女には二十四五歳位からの男女を見ると、むしろ自分より実世界に於ける意志も生活能力もすぐれた人のように往々見える。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
山城屋宗右衛門のその一瞥いちべつで、屋敷の隅々までも見透すほどの鋭い眼光は、彼が江戸諸大名の御用商人として、一代に巨万の富をかち得たすぐれた彼の商魂によつて磨き出されたものである。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)