倭名鈔わみょうしょう)” の例文
肥前値賀ちかしま美々良久みみらくの崎などもまさしくその一例であるが、是とよく似た構成をもつものは、『倭名鈔わみょうしょう』以前からの諸国の郡郷名に多い。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
国郡郷名にも『倭名鈔わみょうしょう』以前からのもので、よほどこじつけないと説明のならぬものに、これまた同様に二音のものが多い。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ただその記事が二つ離れた場処に出ているので、同物異名とも見られぬことはないが、『倭名鈔わみょうしょう』では少なくとも、両者を二種の獣としている。
狸とムジナ (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いわゆるはなわという地の下の地なり。大かた川添にて水入りの地に限りていうがごとし。『倭名鈔わみょうしょう』に糞堆をアクタフというに同じかるべし云々。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
倭名鈔わみょうしょう』には蒲公草和名フジナ、またタナともいうとあって、タナの方は今は痕跡もないが、カ行とハ行とは、日本ではもと紛れやすい音であった。
そうして一方には中国でいう牽牛星けんぎゅうせいすなわち彦星を、また犬飼星いぬかいぼしと呼ぶことは、少なくとも倭名鈔わみょうしょうの昔からである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
りょう神祇令じんぎりょうには天神地祇という名を存し、地祇は『倭名鈔わみょうしょう』のころまで、クニツカミまたはクニツヤシロとみますが、この二つは等しく神祇官において
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
また『和漢三才図会』五十五の土の部には、涅、和名久利、水中黒土なりという『倭名鈔わみょうしょう』の説を用いながら、しかもグリという濁音の仮名を用いている。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
倭名鈔わみょうしょう』の海髑子かいとくしの条などは、明らかに書巻の知識であって、もし酒中に毒あるときは、おのずから割れ砕けて人を警戒するとあり、まだどういうの果実なりとも知らず
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
倭名鈔わみょうしょう』には都比(ツビ)に甲蠃子、または海蠃をて、是を螺類つびるいの総名のごとく解しているために、田螺たにしのツブまたは栄螺さざえのツボ焼きなどと、結びつけて考えようとする人もあるが
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)