借屋しやくや)” の例文
斯う内儀かみさんは話した後で、長く居る療養の客の中には松林の間に眺めの借屋しやくや見立みたてて、海に近く住んで見る人なぞもあるが、いづれもしまひには寂しがつて
灯火 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
さらぬだに、地震ぢしん引傾ひつかしいでゐる借屋しやくやである。颶風ぐふう中心ちうしんとほるより氣味きみわるい。——むね引緊ひきしめ、そであはせて、ゐすくむと、や、や、次第しだい大風おほかぜれせまる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)