俊助しゅんすけ)” の例文
雨に濡れた俊助しゅんすけが『はち』の二階へ来て見ると、野村のむらはもう珈琲茶碗コオヒイじゃわんを前に置いて、窓の外の往来へ退屈そうな視線を落していた。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
俊助しゅんすけは答礼の帽を脱ぎながら、埃臭ほこりくさい周囲の古本と相手のけばけばしい服装との間に、不思議な対照を感ぜずにはいられなかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
俊助しゅんすけはこの病室の戸口に立って、窓の外をふさいでいる白椿しろつばきの花を眺めた時、何となく西洋の尼寺あまでらへでも行ったような心もちがした。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)