低能児ていのうじ)” の例文
旧字:低能兒
おそろしい怖ろしい、低能児ていのうじでも復讐心ふくしゅうしんはあるもの。蛾次郎が、小石をつめこんだのは、れいの石投げのわざで、小判こばんかたきをとるつもりらしい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっとも候補者は一人残らず低能児ていのうじばかりってわけでもないのよ。両親の一番気に入っている電燈会社の技師なんぞはとにかく教育のある青年らしいの。
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「これは、のつけようのない低能児ていのうじだな。」と、教師きょうしは、くちうちでつぶやきました。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
研究して見ると泥棒ぐらい愚な商売はありません。一ヵ月の稼ぎ高が平均十八円五十銭です。僅かこれだけの収入を得るために多大の危険を冒すのですから、損益さえ分らない低能児ていのうじばかりです。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「酒は狂水きょうすいという、頭のよい人をさえあやまらせる。ましてや、おまえのような低能児ていのうじがしたしめば、もう一にんまえの人間にはなれない。わしの見ている前ですてておしまい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
低能児ていのうじじゃないって云ったけれども、芸術的にはまあ低能児だわね。
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と、いいかけて、さすがの低能児ていのうじも、気がついたらしく、口をにごらしながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)