伝馬船てんまぶね)” の例文
旧字:傳馬船
上げ潮につれて灰色の帆を半ば張った伝馬船てんまぶねが一そう、二艘とまれに川を上って来るが、どの船もひっそりと静まって、かじる人の有無うむさえもわからない。
大川の水 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いよ/\セッパつまったその時に、私は伝馬船てんまぶねを五、六日の間やとって、新銭座しんせんざの浜辺につないでおいたことがある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
大川の浜町河岸はまちょうがしに近いある倉庫の岸にもやっていた伝馬船てんまぶねの船頭の女房が、舟のともから紐つきバケツをおろして、河水をんでいると、そのバケツの中へ、肘の所から切断された
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)