会々たまたま)” の例文
会々たまたま其等の新運動にたづさはつてゐる人々の作を、時折手にする雑誌の上で読んでは、其詩の拙い事を心ひそかに喜んでゐた。
弓町より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして、会々たまたま逢う機会があれば、それとなく会話の間に、多くの場合は、世にためしなき恋文の内に、彼の切ない思いをかき口説くのであった。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
会々たまたま宗徒の部将有江休意よしとも、黒髪赤顔眼光人を射る六尺の長身をおどらして至った。重矩の従士左右から之に槍を付けようとするのを、重矩斥けて立ち向った。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
会々たまたま以前私の書いた詩を読んだといふ人に逢つて昔の話をされると、かつて一緒に放蕩をした友達に昔の女の話をされると同じ種類の不快な感じが起つた。生活の味ひは、それだけ私を変化させた。
弓町より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)