伊太利亜イタリヤ)” の例文
仏蘭西フランス人が Sarah Bernhardt に対し伊太利亜イタリヤ人が Eleonora Duse に対するように
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
伊太利亜イタリヤ語の試験が初まったり、病院だか何だかさっぱり分からない、看護婦がやって来ると、極東生れのカルーソを聞かせたり、終いにはスウィスの最高峰の標高如何いかん
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
モオリスは世のいわゆる高尚優美なる紳士にして伊太利亜イタリヤ埃及エジプト等を旅行して古代の文明に対する造詣ぞうけい深く、古美術の話とさえいえば人に劣らぬ熱心家でありながら
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
伊太利亜イタリヤ境のモンテ・ローザ、ワィスミス、これ等はよく見る写真や画はがきで、一目見ればすぐに分かったが、マッターホルンはモンテ・ローザの右にいかにも低くって
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
小説物語には作者みずから出でて本文ほんもんと関係なき勝手の広告をなす事しばしばなり。西洋にても伊太利亜イタリヤの喜劇には幕明まくあきに作者の現れ出づるもの往々にしてこれありといふ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
然し冬は湖畔はいつももやが深くって、この辺の旅には、あまり適していないとさとって、近いうちに明るい伊太利亜イタリヤよりの、山の中にむかおうと思った。二月も今日で二日過ぎた。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
しかしつらつら思えば伊太利亜イタリヤミラノの都はアルプの山影さんえいあって更に美しく、ナポリの都はヴェズウブ火山のけむりあるがために一際ひときわ旅するものの心に記憶されるのではないか。
彼らは口に伊太利亜イタリヤ復興期の美術を論じ、仏国近世の抒情詩を云々うんぬんして、芸術即ち生活、生活即ち美とまでいいしながらその言行の一致せざる事むしろ憐むべきものがある。よ。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)