他事ほか)” の例文
どうもおやすみのところをお妨げ致しまして恐縮に堪えませぬが、かように突然にお伺い致しました理由と申しますのは他事ほかでも御座いませぬ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
他事ほかぢやねえが、猪子で俺は思出した。以前もと師範校の先生で猪子といふ人が有つた。今日の御客様は彼人あのひととは違ふか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それは他事ほかでもない、その脳髄と自称する蛋白質の固形物かたまり自身が、古往今来、人体の中でドンナ役割をつとめているのか、何の役に立っているものか……という事実を
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
他事ほかでも無かった。すこし金を用立ててくれろというので有った。これまでもよく叔父のところへ、五円貸せ、十円貸せ、と言って来て、樺太からふと行の旅費まで心配させたものであった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
……ところで、貴方あなたをこの部屋にお伴いたしました目的と申しますのは他事ほかでも御座いませぬ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)