仏子ぶっし)” の例文
旧字:佛子
仏子ぶっし範宴、人と生れてここに二十九春秋、いたずらに国土の恩にれて長じ、今もって、迷悟を離れず悪濁おだく無明むみょうにあえぎ、幾たびか籠り幾たびか彷徨さすら
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼も、仏者である、聖護院の御内みうちに僧籍のある仏子ぶっしである。菩薩の顔と、邪人の顔と、見わけのつかない人間ではない。——なんで親鸞は前からこんなよい顔を備えていたろうか。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
性善坊、おん身を仏陀ぶっだと思い参らすゆえ、おん身はかりに仏陀となれ。わしは仏子ぶっしにあるまじい心病にとりつかれ恥かしい迷路を幾日も踏み迷うていた、犯さねどすでに心は汚罪をおかしたに等しい。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)