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享樂
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きやうらく
九月のよく晴れた日の夕方、植木の世話も一段落で、
錢形平次は
暫らくの
閑日月を、粉煙草をせゝりながら、
享樂して居る時でした。
女と、ばくちと、
阿片と、
支那人の一
生はその三つの
享樂の
達成に
捧げられる——などと
言ふと、
近頃の
若い
新しい
中華民國の
人達から
叱られるかも
知れないが
伽羅大盡の貫兵衞は、
薄菊石の
醜い顏を
歪めて、腹の底から一座の空氣を
享樂して居る樣子でした。
錢形の平次は夕飯の膳を押しやつて胸一杯の凉風を
享樂してゐる姿です。