交換とりか)” の例文
馬は三頭でしてね、『一頭は三年まえに買っただし、川原毛のやつは、やはり川原毛のやつと交換とりかえたのでがす。もう一頭の方も買ったんで……』
ひき交換とりかへたとは事實まことか? ならば何故なぜこゑまでも交換とりかへなんだぞ? あのこゑがあればこそ、いだきあうたかひなかひな引離ひきはなし、朝彦あさびこさま歌聲うたごゑで、可愛いとしいおまへ追立おひたてをる。
この返事をお雪は翌日あくるひまで出さずに置いた。折を見て、封筒の宛名だけしたためて、肩に先方さきから指してよこした町名番地を書いた。表面おもてだって交換とりかわす手紙では無かったからで。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)