亡母はゝ)” の例文
私の意気地いくぢないことを叱る様な亡母はゝの声が聞えるぢやありませんか、あゝいつそ死んだならば、斯様こんな不愉快な苦境から脱れることが出来ようなどと
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
『男は淺猿あさましいものだ!』と心で言つて見た。青森にゐる兄の事が思出されたので。——嫂の言葉に返事もせず、竈の下を焚きつけ乍らも聖書を讀んだ頃が思出された。亡母はゝの事が思出された。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
私は貧民の児女こどもを教育して見たいと思ひましてネ——亡母はゝの日記などの中にも同じ教育をるならば
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
老女おばさん、そんなこと——此の教会で亡母はゝのこと知つてて下ださるのは、今は最早もう老女さん御一人でせう、うちでもネ、乳母ばあやが亡母のこと言ひ出しては泣きます時にネ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)