五束いつたば)” の例文
いつか上の姉が、なにもなくてえ、と顏を赤くして言ひつつ線香花火を五束いつたば六束むたばバスケツトから出して私に與へたが、私はそのとき胸をしめつけられる思ひがした。
思ひ出 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
三束みたば五束いつたば附木つけぎを並べたのを前に置いて、手をいて、もつれ髪のうなじ清らかに、襟脚白く、女房がお辞儀をした、仰向けになって、踏反ふんぞって、泣寐入なきねいりに寐入ったらしい嬰児あかんぼが懐に
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)