二本榎にほんえのき)” の例文
そうして、もっとも危険区域とされた三田の藩州附近、伊皿子いさらご二本榎にほんえのき、猿町、白金辺を持場として割当てられたのが荘内藩であります。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二本榎にほんえのきに朝夕の烟も細き一かまどあり、主人あるじは八百屋にして、かつぎうりをいとなみとす、そが妻との間に三五ばかりなる娘ひとりと、六歳むつになりたる小児とあり
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
その辺の寺々よりかね木魚もくぎょの音しきりに聞え、街道筋とも覚しき処を、百姓ども高声に話しながら、野菜を積み候荷車をき行くさま、これにてようや二本榎にほんえのきより伊皿子辺いさらごへんへ来かゝり候事と
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
新築した家の出来ない前は先生は二本榎にほんえのきの方で、近くにある教会の牧師と、繁子達の職員として通っている学校の教頭とを兼ねていた。捨吉はしばらく二本榎の家の方に置いて貰った。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
女「有難うございます、屋敷は旧麻布もとあざぶ二本榎にほんえのきでございます」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其処から学校へは何程いくらも無いんです。く和尚さんは二本榎にほんえのき道路みちを通ひました。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)