乾門いぬいもん)” の例文
丈八郎は、米沢城の乾門いぬいもん番士、ろくは、高々百石たらずである。夜勤よづめ交代で一日おきには、家にいない事になるらしい。
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乾門いぬいもんの外に、一隊の馬たけびをのこして、前夜、大物見に出た先から、本庄鬼六がこれへ帰って来たものだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城の乾門いぬいもんでは、果して、奉行の下役が詰めていて、退城の者をとどめ、いちいち体調からだしらべをして通した。
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こよい、おやかたをかこみ、例のごとく談議つかまつれば、乾門いぬいもんよりおいでを待つ——というのであった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その雪斎の踏み渡って行くのは、乾門いぬいもん唐橋からはしであった。元康は一足おくれて榊原平七に何か云いおき、また、乗馬も小者の手にあずけて、老師の後から城内へ姿をかくした。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)