乳首ちちくび)” の例文
この雌牛は足が弱かったし、首が短すぎたし、つのが長すぎた。肺臓はいぞうが小さくって、乳首ちちくびの形が悪かった。どうしてこれではたんと乳は出まい。
わたしはこう云う話の中にいつか彼女の乳首ちちくびの大きくなり出したのに気づいていた。それはちょうどキャベツののほぐれかかったのに近いものだった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
豊艶ふっくらのぞいた乳首ちちくびが白い蛇の首に見えて、むらむらとうろこも透く、あの指の、あの白金プラチナが、そのまま活きて出たらしいで、俺はこの手足も、胴も、じなじなと巻緊まきしめられると、五臓六腑が蒸上むれあがって
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)