乞胸ごうむね)” の例文
「何だい、乞胸ごうむねの親方なんか、そんなに持ち上げる奴があるものかい。金公、ちっと気を利かして口をきいておくれ、席がけがれるよ」
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
物貰には三種あるので、第一は非人から出るやつ、第二は乞胸ごうむねから出るやつ、第三は願人坊主、この三種からいろ/\なことになつて居ります。
物貰ひの話 (旧字旧仮名) / 三田村鳶魚(著)
猿引・編木師ささらし・恵美須・辻乞・乞胸ごうむね弦指つるさし・盲目で、また八乞食とは、薦僧こもそう鉢坊はちぼう絵説えとき鉦打かねうち・舞々・猿牽さるひき・山守・渡守を云い、次に六道の者というは
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
「けがらわしいから、お帰り、こっちだって腕ずくなら、乞胸ごうむねの親方に負けないくらいのことは仕兼ねないよ」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
乞胸ごうむねと呼ばれた大道芸人の仲間も今では立派な街上芸術家である。昔ならば家人けにん奴婢ぬひと呼ばれて、賤民階級に置かれた使用人の如きも、今ではサラリーマンと名までが変って来た。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
また乞胸ごうむねの名を以て呼ばれた大道芸人、縁日芸人、或いは猿引すなわち猿舞わしの如く、町家に住居して遊芸の生活をするものは、また非人小屋、非人溜りにいる非人とは別であった。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
昔であれば乞胸ごうむねと云って、その頭の仁太夫の支配を受けなければならなかったのでありましょうが、今日ではよい身分の人々の娘さんたちの寄り合いで、監督も厳重だし、教育の手当ても行き届き