中位ちゅうぐらい)” の例文
中位ちゅうぐらいに見えます」と私は答えた。この答えは先生にとって少し案外らしかった。先生はまた口を閉じて、無言で歩き出した。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
君は中位ちゅうぐらいを以て自任じにん出来ない男だ。——いや、君ばかりじゃない。近代の人間と云うやつは、皆中位で満足出来ない連中だ。そこで勢い、主我的イゴイスティックになる。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
中位ちゅうぐらいの一群でございます。私が故国の女性を思うと同じ一般の女性を語ろうとするのでございます。
C先生への手紙 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
大きいおうるどみすがおとよさんといって学校の先生だった。中位ちゅうぐらいのおうるどみすも教師だった。下のミスも先生になりかけていた。お母さんだけが台所をしていた。
夫婦づれで出て来て、国王はただ羅紗ラシャの服を着て居ると云うくらいな事、家も日本で云えば中位ちゅうぐらいの西洋造り、宝物たからものを見せると云うから何かとおもったら、鳥の羽でこしらえた敷物しきものもって来て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
中位ちゅうぐらいは好かった。大人おとなもそう思ってさえいれば、一生幸福に暮せるのに相違ない。こりゃ初子さんなんぞは殊に拳々服膺けんけんふくようすべき事かも知れませんぜ。辰子さんの方は大丈夫だが——」
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
中位ちゅうぐらい。」と道破どうはした。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)