丑三うしみつ)” の例文
それから、丑三うしみつの頃、大胆至極にも、江戸城の一の御門のへいを乗越して潜入した、一つの黒い影があります。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
……しかし無理むりもない。こんなことつたのはあたか箱根はこね山中さんちうで、ちやう丑三うしみつ時刻じこくであつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わざとゆっくりゆっくり歩いています……朧月夜もふけて丑三うしみつ過ぎで、無論、人の通ることは宵から数えるほどしかなかったのですから、この深夜にはたれはばかるものもない
下手な左官屋の真似まねをする芸当をやめてしまい、四方あたりが森閑とした丑三うしみつの天地にかえりましたものですから、さしもの竜之助も疲れが一時に発したものと見えて、仰向けに寝たままで
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)