下拵したごしらえ)” の例文
「ああ、今日はちっとの、内証ないしょに芝居者のお客があっての、実は寮の方で一杯と思って、下拵したごしらえに来てみると、困るじゃあねえか、おめえ。」
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蜜柑の方はジャムの下拵したごしらえのようなもので皮ごと薄く切って一晩水へ漬けてその水で沢山のお砂糖と一所に始終掻き廻しながら一時間ばかり煮詰めたのです
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
もし採用されなかったら丈夫玉砕瓦全を恥ずとか何とか珍汾漢ちんぷんかん気燄きえんを吐こうと暗に下拵したごしらえに黙っている、とそれならこれにしようと、いとも見苦しかりける男乗をぞあてがいける
自転車日記 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
念を押すのは満を引いて始めて放つための下拵したごしらえと見える。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)