三頭さんず)” の例文
牢役人は、彼をひき出すと、馬の三頭さんず——尻の方におもてを向けさせて、荷駄鞍にだぐらにしばりつけ、刑場へ連れ出した。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この時あわてて馳けつけた原大隅守虎義はかたわらにあった信玄の青貝の長槍をとって、相手の騎馬武者を突いたがはずれ、その槍は馬の三頭さんず(背すじの後部)をしたたか突いたので
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
と、子供と共においおいと泣く母親を叱りつけて、それらの者を乗せた馬の三頭さんずを、槍のでびしびしなぐった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬の足の外れる深さにかかれば、身を馬の三頭さんずに下げて、かるく手綱をくれながら馬を泳がせ、また、浅瀬にかかれば、しぶきをませて駈けわたるのである。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、必死にこばんで、しかも一人は槍の柄で、光春の馬の三頭さんずのあたりを、力まかせに撲りつけた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——馬の足の届くまでは、手綱をゆるめて泳がせよ。手綱強めて、誤ちすな。尾口沈まば、前輪まえわにすがれ、水あし急にふさがれなば、馬の三頭さんずに乗下がり、鞍つぼ去って水を通せ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、ばかり反れ槍を持直して、謙信の馬の三頭さんずを力まかせに撲りつけた為であった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)