三厳みつよし)” の例文
自分たち四人兄弟のうちでも、兄の十兵衛三厳みつよしをのぞいては、次男の刑部友矩ぎょうぶとものりにも、四男の右門義春にも、負けはしない。劣っている自分ではない。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十時隼人というのは仮名だった、あれは柳生家の十兵衛三厳みつよしどのだというぞ。
薯粥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
また、春秋十数年の後——但馬守の跡をついで将軍師範であった十兵衛三厳みつよしは、ある年、郷里の柳生にあって、野外に放鷹ほうよう中、忽然こつぜんと、急病で死んだ。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中庭の芭蕉ばしょうに、黄色い灯影ほかげが流れた。がらりと、障子を明けて、濡れ縁に人影が立った。十兵衛三厳みつよしである。障子の隙間から、兵書や禅書を散らした机が見える。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)