一汐ひとしお)” の例文
さっと一汐ひとしお田越川たごえがわへ上げて来ると、じゅうと水が染みて、そのにぶつぶつ泡立あわだって、やがて、満々と水を湛える。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寝返りを打てば、袖のあおりにふっと払われて、やがて次の間と隔ての、襖の際に籠った気勢けはいもと花片はなびらに香が戻って、匂は一処に集ったか、薫が一汐ひとしお高くなった。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)