一廻ひとめぐ)” の例文
何故ともなくスルリと身を引いて、タッタ一人で家の周囲をグルリと一廻ひとめぐり巡回してみたが、それはやはり職務のために緊張し易い警官特有の第六感の作用であったかも知れない。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
秋が近くなつて、薄靄うすもやの掛かつてゐる松林の中の、清い砂を踏んで、主人はそこらを一廻ひとめぐりして来て、八十八やそはちという老僕のこしらへた朝餉あさげをしまつて、今自分の居間に据わつた処である。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
みちは左へ一廻ひとめぐり。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)