一家言いっかげん)” の例文
ははははは、無学の暴言かも知れないが、一家言いっかげんとして聞いてもいい、とにかくあいつは活々いきいきした人間らしいな、この杢之進もくのしんに較べてみても
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうはいえ、事柄ことがらもむずかしかった。恋愛至上主義者も、この事件について、一家言いっかげんをたてるものも、家庭にあって、子女を前にしては、説が矛盾するといった。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
これは私が見た上での一家言いっかげんでなくって、不風流ぶふうりゅうなチベット人も十五日の供養は兜率天上弥勒とそつてんじょうみろくの内縁に供養したその有様をこのラサ府にげんじたのであると、彼らはことわざのようにいうて居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しかれどもこれ一家言いっかげんのみ。俳句を以て最上の文学と為す者は同じく一家言なりといへども、俳句もまた文学の一部を占めてあえて他の文学に劣るなし。これ概括的標準にてらしておのずから然るを覚ゆ。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)