一人児ひとりっこ)” の例文
旧字:一人兒
たった一人児ひとりっこの私さえ、父のためた金の犠牲として、一生を塀の中で暮らす事になりました。私は子供の時から、家の外の人間はすべて自分を憎んでいる敵だと思っていました。
遺産 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
一人児ひとりっこだから、時々飲んでいたんですが、食が少いかられがちなんです。私を仰向あおむけにして、横合から胸をはだけて、……まだあわせ、お雪さんの肌にはかすかにくれないのちらついた、春の末でした。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)