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むねがわら
間ごとに
万宝をちりばめてあおげば
棟瓦までことごとく
金箔。
棟瓦をひらりと
跨いで、高く、高く、雲の白きが、
微に動いて、
瑠璃色に
澄渡った空を仰ぐ時は、あの、夕立の夜を
思出す……そして、美しく清らかな母の懐にある
幼児の身にあこがれた。
あれ聞け……
寂寞とした
一条廓の、
棟瓦にも響き転げる、
轍の音も留まるばかり、
灘の浪を川に寄せて、千里の
果も同じ水に、筑前の沖の月影を、
白銀の糸で手繰ったように、星に
晃めく唄の声。