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はたさしもの
面部から咽喉にかけての所は、
咽輪と
黒漆の猛悪な相をした
面当で隠されてあった。そして、背には、軍配
日月の中央に
南無日輪摩利支天と
認めた
母衣を負い、その脇に竜虎の
旗差物が挾んであった。
旗差物を
旭に輝やかしつつ南下して行くのを発見した。
と、馬の手入れをし、武器をつくろい、
旗指物を蔵から出し、家ノ子郎党を集める者も出て来た。
西陣の織物を一手に
捌いた本家福屋の番頭から仕上げた善兵衛が、
暖簾を分けて貰うと、公儀に
讒訴して、
天草の
旗指物を引受けたとか、身分不相応の
奢侈僭上に
耽ったとか