“にゅうしん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
入神66.7%
入津33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
入神にゅうしんの持主とは、そういう一瞬を地上に呼び降ろすひとのことをいう。けれどどんな名人を坐らせても、一方的にそれ独りでは天界の悦楽を地上に降ろすことはできない。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夫人は自らの作りあげた入神にゅうしんの技が、かくも自らを苦しめるものとは今の今まで考えなかった。もしこんなことがあると知っていたら、もっと不完全な程度にとどめるのがよかった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
また、堺港さかいみなとは、本邦と海外とを結ぶ唯一の交易地でもあり、唐船からふね蛮船ばんせん入津にゅうしんも絶えない折から、長く乱脈な状態の下に業を停止されてあるのは、国家の損耗そんもうでもある。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悠々とアビトのすそを引いた、鼻の高い紅毛人こうもうじんは、黄昏たそがれの光のただよった、架空かくう月桂げっけいや薔薇の中から、一双の屏風びょうぶへ帰って行った。南蛮船なんばんせん入津にゅうしんの図をいた、三世紀以前の古屏風へ。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)