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ながほらむら
立去り
美濃國各務郡谷汲の
郷長洞村の日蓮宗にて百八十三箇寺の本寺なる常樂院の
當住天忠上人と聞えしは藤井紋太夫が
弟にて大膳が爲には
實の
伯父坊なれば大膳は此長洞村へ尋ね來り
暫く此寺の
食客となり居たりしが元より不敵の者なれば
夜々往還へ出て旅人を
も
附屬致され後年御世に出し
參らすべしとの
遺言なれば天忠
御養育なし參らせし處其後天忠
美濃國谷汲郷長洞村常樂院へ
轉住せしに付御同道申
上同院にて御成長に御座候と書認めたり伊豆殿
見終り玉ひ御書面にて先
御誕生後御成長迄は分りたれども
未だ
如何なる
御腹に御出生ありしや
不分明なり此儀は如何にと
問れたり