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しゃしんちょう
気紛れにこの土地へ
御輿を
舁ぎ込んだものだったが、銀子がちょっと
気障ったらしく思ったのは、いつも
折鞄のなかに入れてあるく
写真帖であった。
中央なる机には美しき
氈をかけて、上には書物一、二巻と
写真帖とをならべ、
陶瓶にはここに似合わしからぬ
価高き花束を
生けたり。そが傍らに少女は
羞をおびて立てり。
かの女達が伯林で、現在眼の前の実物を観
乍ら、その建築物の写真の載った
写真帖など見並べると、驚く
程、
其の写真の方が、線の影や
深味が、精巧な
怜悧な
写術によって附加されている。