“したくちびる”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
下唇82.4%
下脣17.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
母は風邪にかかつたせゐか、それとも又下唇したくちびるに出来た粟粒あはつぶ程の腫物はれもののせゐか、気持が悪いと申したぎり、朝の御飯も頂きません。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
平田は上をき眼をねむり、後眥めじりからは涙が頬へすじき、下唇したくちびるは噛まれ、上唇はふるえて、帯を引くだけの勇気もないのである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
ポケットの中に両手を握りしめ、小鳥のように首を振り、下脣したくちびるをつき出して慧敏けいびんらしいふくつらをした。
直接の見地から見れば、民主主義の兵士であり、同時代の機運を離れて見れば、理想に仕える牧師であった。深いひとみと、少し赤い眼瞼まぶたと、すぐに人を軽蔑しそうな厚い下脣したくちびると、高い額とを持っていた。