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さしこし
賣候百兩の金子
紛失致せしに付右は私し
盜み取候に相違なしと
理不盡なる
云懸仕つり候ゆゑ私し儀市之丞より
差越たる金子の
譯を申聞ると雖も一向
双合ず却て盜賊の
汚名を
遂られよと申送りしかば
松本理左衞門も
餘儀なく
畏まる
趣ぎ
返答に及び
置夫より三五郎を呼出し汝
支配の奉行を
差越御家老
外記殿へ
直訴に及び候段
不屆至極の奴なりと
眼玉を
追て致す先
入牢申付ると有て
假牢に入置れ早速此段嘉川主税之助方へ申入らるゝ樣
其許御子息藤五郎殿家來と申神田豐島町酒屋にて
酒興の上
亂暴に及候者有之に付此方へ
召捕置候間用役の者一人早々御
差越成るべしとの事なれば嘉川の
屋敷にては大いに驚き是は