“さえき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
佐伯88.9%
冴切11.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「もう着いた時分だね。公使館の佐伯さえきと云う人が持って来てくれるはずだ。——何にもないだろう——書物が少しあるかな」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大伴・佐伯さえきの数知れぬ家々・人々が、外の大伴へ、頭をさげるようになってはならぬ。こう考えて来た家持の心の動揺などには、思いよりもせぬ風で
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
中空なかぞら冴切さえきって、星が水垢離みずごり取りそうな月明つきあかりに、踏切の桟橋を渡る影高く、ともしびちらちらと目の下に、遠近おちこち樹立こだちの骨ばかりなのをながめながら、桑名の停車場ステエションへ下りた旅客がある。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうして、見るからに外国製らしい銀色の十字型の短刀を夫人から渡されると、その冴切さえきった刃尖はさきを頭の上のシャンデリヤに向けながら、大笑いした自分の声を、今でもハッキリと記憶している。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)