うた)” の例文
開かんとす此旨このむね一同心得よと宣告のりしめさるゝに此方の者は思ひ依ざる人殺しもかねうたがひ居たりしに元益親子は進み出庄兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御米およね小六ころく差向さしむかひぜんくときのこのぶつせいな心持こゝろもちが、何時いつになつたらえるだらうと、こゝろうちひそかうたぐつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なか/\左様な女狂いなどをして家を明けるような人間ではございません、言うに云われぬ深い理由わけがあって、どうも棄て置かれぬ、お前が左様にうたぐるから話すが
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その純潔すらうたがはれたのでつひ何時いつとはなしに銀之助の方から別れてしまつたのであつた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ふなのりがうたぐりぶかい調子ちょうしでいうと、わかいなかまは、不平ふへいそうにほおをふくらし
「さううたぐるならわしはあづかりますめえ」といつて拒絶きよぜつした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うたがふはつみふかきことなり一日ひとひ二日ふたひ待給まちたま御返事おへんじまゐるはぢやうぞとひしにちがひはかるべししさうならばなんとせん八重やへうへもなき恩人おんじんなればなにごとなりともることしてよろこばせたしとししたなれど分別ふんべつあるひととてことばすくなゝればねがひはあるのぞみはなしやがたきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかはらなかでは、はたして御米およねごとく、何所どこかでかねりるか、もらふかして、夫程それほどきもしないものを、わざとむのではなからうかとうたぐつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
以て主人の居間ゐまの金百兩紛失ふんじつせしこと申立て候是は跡方あとかたなきいつはりに候へ共右樣申立るに於ては御上にてもすけ十郎郷右衞門の兩人にうたがひかゝらんにより藤五郎兄弟きやうだいを盜み出せしは己等が罪を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その證據しようこにはかつこひめにくるしもだえたひとも、ときつて、普通ふつうひととなるときは、何故なにゆゑ彼時あのとき自分じぶんこひめにくまで苦悶くもんしたかを、自分じぶんうたがうものである。すなはかれこひちかられてないからである。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いとゞしく御不愍ごふびんがりさておやひとあはれのことやまづ庭口にはぐちより部屋へやまでうへきたしとてたまひぬいまこそ目馴めなれたれ御座敷おざしき結搆けつこうにはのたゝずまひ華族くわぞくさまにやとうたがひしはいつぢやうさまの御言語容姿おものごしにもりしものそのうつくしきぢやうさま御親切ごしんせつにも女子同志をなごどうし
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
このをんなにはうま故郷こきやうみづが、しやうはないのだらうと、うたぐればうたぐられるくらゐ御米およね一時いちじなやんだこともあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)