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いまだ
ふりがな文庫
“
未
(
いまだ
)” の例文
草花
(
さうくわ
)
も蝶に化する事
本草
(
ほんざう
)
にも見えたり。蝶の
和訓
(
わくん
)
をかはひらこといふは
新撰字鏡
(
しんせんじきやう
)
にも見えたれど、さかべつたうといふ
名義
(
みやうぎ
)
は
未
(
いまだ
)
考
(
かんがへ
)
ず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
九人一つ座敷にいる
中
(
うち
)
で、
片岡源五右衛門
(
かたおかげんごえもん
)
は、今し方
厠
(
かわや
)
へ立った。
早水藤左衛門
(
はやみとうざえもん
)
は、
下
(
しも
)
の
間
(
ま
)
へ話しに行って、
未
(
いまだ
)
にここへ帰らない。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
常磐津
(
ときわづ
)
浄瑠璃に二代目治助が作とやら鉢の木を夕立の雨やどりにもじりたるものありと知れど
未
(
いまだ
)
その曲をきく折なきを
憾
(
うら
)
みとせり。
夕立
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
とは「梅松論」が言っているところで、要するに、準備は
未
(
いまだ
)
しとなす
尚早論
(
しょうそうろん
)
と、即刻東上をよしとする意見とが二つにあったものとみえる。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其時越前守殿
重
(
かさ
)
ねて彌吉夫婦に向はれ汝等
未
(
いまだ
)
菊を疑ふ樣子ある故
具
(
つぶさ
)
に申聞すべし我菊が
姑
(
しうとめ
)
の死骸を
檢査
(
あらため
)
さする
序
(
ついで
)
に
家探
(
やさが
)
しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
その声がなんでも何処か、誰かに似ているなと思うが、
未
(
いまだ
)
にその人のことが考え出されない。私は、その
儘
(
まま
)
頭を傾げて便所に行き又二階へ上ってしまう。
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
気を悪くした一人の女先生が山川菊枝部長にこの話をつたえたから、部長は男性の横暴増長に胸をいためられて、男女同権
未
(
いまだ
)
しと怒りの一文を草せられた。
ヤミ論語
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
題のない習作の方は、会話などもさし入れての試みであるが、これも小説には
未
(
いまだ
)
しというものである。
婦人と文学
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
當夏中より中風相煩歩行相成兼其上
甥
(
をひ
)
鎌作
(
かまさく
)
儀病身に付(中略)右傳次方私從弟定五郎と申者江跡式相續
爲仕度
(
つかまつらせたく
)
(中略)奉願候、
尤
(
もつとも
)
從弟儀
未
(
いまだ
)
若年に御座候に付右傳次儀後見仕
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
然ニ小弟宿の事、色〻たずね候得ども何分無
レ
之候所、昨夜
藩邸
(
薩摩
)
吉井幸輔より、こと
伝
(
づたへ
)
在
レ
之候ニ、
未
(
いまだ
)
屋鋪
(
土佐屋敷
)
ニ入事あたハざるよし。
四條ポント町
(
四条河原町二筋束近江屋
)
位ニ居てハ、用心あしく候。
手紙:114 慶応三年十月十八日 望月清平あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
今生
(
こんじょう
)
にて今一度竜顔を拝し奉らんために参内仕りて候ふと申しもあへず、涙を鎧の袖にかけて、義心其の気色に顕れければ、伝奏
未
(
いまだ
)
奏せざる先にまづ
直衣
(
ひたたれ
)
の袖をぞぬらされける。
四条畷の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は
未
(
いまだ
)
にこの朝日岳の頂上附近を歩いた時の心持を忘れる事が出来ないのであります。
日本アルプスの五仙境
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
若
(
もし
)
、この時分に、天下のゆるされも不足に、めいぼうも思ふほどなくは、
如何
(
いか
)
なる上手なりとも、
未
(
いまだ
)
まことの花を極めぬして(仕手)と知るべし。もし極めずは、四十より能はさがるべし。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
天
(
てん
)
未
(
いまだ
)
に
闇
(
くら
)
し。
東方
(
とうはう
)
臥龍山
(
ぐわりうざん
)
の
巓
(
いたゞき
)
少
(
すこ
)
しく
白
(
しら
)
みて、
旭日
(
きよくじつ
)
一帶
(
いつたい
)
の
紅
(
こう
)
を
潮
(
てう
)
せり。
昧爽
(
まいさう
)
氣
(
き
)
清
(
きよ
)
く、
神
(
しん
)
澄
(
す
)
みて、
街衢
(
がいく
)
縱横
(
じうわう
)
の
地平線
(
ちへいせん
)
、
皆
(
みな
)
眼眸
(
がんぼう
)
の
裡
(
うち
)
にあり。
然
(
しか
)
して
國主
(
こくしゆ
)
が
掌中
(
しやうちう
)
の
民
(
たみ
)
十萬
(
じふまん
)
、
今
(
いま
)
はた
何
(
なに
)
をなしつゝあるか。
鉄槌の音
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
このことは
木米
(
もくべい
)
についても云えるであろう。私は木米の焼物で、彼の南画以上に美しいものを見たことがない。私は書家として画家としての木米をはなはだ好む。だが陶工としては
未
(
いまだ
)
しである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
長崎に来りて
四年
(
よとせ
)
の夏ふけむ白さるすべり咲くは
未
(
いまだ
)
か
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
菊の色
縁
(
えん
)
に
未
(
いまだ
)
し
此
(
この
)
晨
(
あした
)
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しかれ
)
どもなほ
安
(
やすん
)
ぜず、
窃
(
ひそか
)
に歎じて曰く宮本武蔵は
※々
(
ひひ
)
を退治せり。洋人の色に飢るや綿羊を犯すものあり。僕
未
(
いまだ
)
能
(
よ
)
くここに到るを得ずと。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
西洋に男子の
遺精
(
ゐせい
)
を歌へる詩ありや否や、寡聞にして
未
(
いまだ
)
之を知らず。日本には俳諧
錦繍段
(
きんしうだん
)
に、「遺精驚く暁のゆめ、
神叔
(
しんしゆく
)
」とあり。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
願度依て推參致せりとの言葉の
端々
(
はし/″\
)
未
(
いまだ
)
十五歳の
若年者
(
じやくねんもの
)
には
怪敷
(
あやしく
)
思へども又名奉行大岡樣の御吟味に
間違
(
まちがひ
)
のあるべき樣なし
由無事
(
よしなきこと
)
を訴へ
其許迄
(
そのもとまで
)
御咎
(
おとがめ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
雪の上は灰色に凍って、見渡すかぎり、
寂莫
(
じゃくまく
)
としている。その時私の母は四十幾つであった。脊の低い
痩
(
やせ
)
た人柄であった。私は
未
(
いまだ
)
に当時のあたりの
傷
(
いたま
)
しい景色が身に浸みていて忘れられない。
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
是非送って
呉
(
く
)
れと約束したが、
未
(
いまだ
)
に果されないでいる。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
しかしかれこれ
午
(
ひる
)
近くなっても、
未
(
いまだ
)
に兵衛は見えなかった。喜三郎はいら立って、さりげなく彼の参詣の有無を寺の門番に尋ねて見た。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
亡
(
うしな
)
ひ
未
(
いまだ
)
子
(
こ
)
も無りしが其後
夫
(
をつと
)
を持ず姑に
事
(
つか
)
へて孝行を盡くしけるに元より其
家
(
いへ
)
貧
(
まづし
)
ければ
麻
(
あさ
)
をうみ
機
(
はた
)
を織て朝夕
姑女
(
しうとめ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
園丁これをオガタマの木と呼べどもわれ
未
(
いまだ
)
オガタマなるものを知らねば、
一日
(
いちにち
)
座右
(
ざう
)
にありし
萩
(
はぎ
)
の
家
(
や
)
先生が辞典を見しに古今集
三木
(
さんぼく
)
の一古語にして実物不詳とあり。
来青花
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
これも
検
(
しら
)
べて見ようと思ひながら、
未
(
いまだ
)
にその儘
打遣
(
うつちや
)
つてある。バイロンはサアダナペエラスをゲエテに、ケエンをスコツトに献じてゐる。
本の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして毎年二度ずつ、この暴行は繰返されて今日に及んでいる。わたくしは世の父兄にして
未
(
いまだ
)
一人
(
いちにん
)
の深く之を憤り其子弟をして退学せしめたもののある事を聞かない。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そのうす暗がりに浮んでゐる、半ば仰向いた金花の顔は、色もわからない古毛布に、円い
括
(
くく
)
り
顋
(
あご
)
を隠した儘、
未
(
いまだ
)
に眠い眼を開かなかつた。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
暗夜の海にも
譬
(
たと
)
へようず
煩悩心
(
ぼんなうしん
)
の空に一波をあげて、
未
(
いまだ
)
出ぬ月の光を、
水沫
(
みなわ
)
の中に捕へてこそ、生きて甲斐ある命とも申さうず。
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
可笑
(
をか
)
しい話でございますが、わたしは
未
(
いまだ
)
に薬種の匂、
陳皮
(
ちんぴ
)
や
大黄
(
だいわう
)
の匂がすると、
必
(
かならず
)
この無尽燈を思ひ出さずには居られません。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし幽霊を見たと云ふ話は
未
(
いまだ
)
に時々伝へられる。ではなぜその話を信じないのか? 幽霊などを見る者は迷信に
囚
(
とら
)
はれて居るからである。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし幽霊を見たと云う話は
未
(
いまだ
)
に時々伝えられる。ではなぜその話を信じないのか? 幽霊などを見る者は迷信に
囚
(
とら
)
われて居るからである。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そう云えば
威
(
い
)
かつい肩のあたりや、
指節
(
ゆびふし
)
の太い手の
恰好
(
かっこう
)
には、
未
(
いまだ
)
に
珊瑚礁
(
さんごしょう
)
の
潮
(
しお
)
けむりや、
白檀山
(
びゃくだんやま
)
の匂いがしみているようです。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その顔が
未
(
いまだ
)
にどうかすると、はつきり記憶に浮ぶ事がある。
里見
(
さとみ
)
君の
所謂
(
いはゆる
)
一目惚
(
ひとめぼ
)
れとは、こんな心もちを云ふのかも知れない。(二月十日)
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼女は犬の事ばかりか、
未
(
いまだ
)
にわからない男の在りかや、どうかすると顔さえ知らない、
牧野
(
まきの
)
の妻の身の上までも、いろいろ思い悩んだりした。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これは
凡兆
(
ぼんてう
)
の付け方、
未
(
いまだ
)
しきやうなり。されどこの芭蕉の句は、なかなか世間
並
(
なみ
)
の才人が
筋斗
(
きんと
)
百回した所が、付けられさうもないには違ひなし。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ですからあの秋山図も、今は誰の家に蔵されているか、いや、
未
(
いまだ
)
に
亀玉
(
きぎょく
)
の
毀
(
やぶ
)
れもないか、それさえ我々にはわかりません。
秋山図
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
閣下の
怠慢
(
たいまん
)
は、私たち夫妻の上に、最後の不幸を
齎
(
もたら
)
しました。私の妻は、
昨日
(
さくじつ
)
突然失踪したぎり、
未
(
いまだ
)
にどうなったかわかりません。私は危みます。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
己は三年ぶりで始めてあの女と向い合った時、思わず視線をそらさずにはいられなかったほど、強い衝動を感じたのを
未
(
いまだ
)
にはっきり覚えている。……
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それでもまだ容貌の醜い若者は、快活な心もちを失わなかった。と云うよりも失う筈がなかった。
何故
(
なぜ
)
と云えば彼等の不快は
未
(
いまだ
)
に彼には通じなかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
紅葉
(
こうえふ
)
の句
未
(
いまだ
)
古人霊妙の機を会せざるは、独りその
談林調
(
だんりんてう
)
たるが故のみにもあらざるべし。この人の文を見るも
楚々
(
そそ
)
たる落墨
直
(
ただち
)
に松を成すの妙はあらず。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、空はまるで黒幕でも垂らしたように、
椎
(
しい
)
の
樹
(
き
)
松浦
(
まつうら
)
の屋敷の上へ陰々と蔽いかかったまま、月の出らしい雲のけはいは
未
(
いまだ
)
に少しも見えませんでした。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
クロオデルもしこれを聞かば、或は恐る、
黄面
(
くわうめん
)
の
豎子
(
じゆし
)
未
(
いまだ
)
王化に浴せずと
長太息
(
ちやうたいそく
)
に堪へざらん事を。(二月五日)
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
男はもう一度ハムモックに、ゆらりと
仰向
(
あおむ
)
けになりながら、同じ言葉を繰返した。男の頭のどこかには、
未
(
いまだ
)
に
瀕死
(
ひんし
)
の赤児が一人、小さい
喘
(
あえ
)
ぎを続けている。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この徳蔵には
可笑
(
をか
)
しい話が幾つあつたかわかりません。その中でも
未
(
いまだ
)
に思ひ出すのは
苗字
(
めうじ
)
の話でございます。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その時の
怪訝
(
くわいが
)
と同情とを一つにしたやうな心もちは、
未
(
いまだ
)
に忘れようとしても、忘れる事が出来ない。
手巾
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鏡花
(
きょうか
)
の小説は死んではいない。少くとも東京の魚河岸には、
未
(
いまだ
)
にあの通りの事件も起るのである。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
予が先輩にして且知人たる
成島柳北
(
なるしまりうほく
)
先生より、彼が
西京祇園
(
さいきやうぎをん
)
の妓楼に、
雛妓
(
すうぎ
)
の
未
(
いまだ
)
春を
懐
(
いだ
)
かざるものを
梳櫳
(
そろう
)
して、以て死に到らしめしを
仄聞
(
そくぶん
)
せしも、実に此間の事に属す。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私はそれを聞くと同時に、
未
(
いまだ
)
に自分にもわからない、不思議に
生々
(
いきいき
)
した心もちになった。生々した? もし月の光が明いと云うのなら、それも生々した心もちであろう。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
偶
(
たまたま
)
明子の満村に嫁して、
未
(
いまだ
)
一児を挙げざるは、
恰
(
あたか
)
も天意亦予が計画を
扶
(
たす
)
くるに似たるの観あり。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“未”の意味
《名詞》
ひつじ。十二支の第8番目。
ひつじ。方角を表す語。南から西へ30度。
ひつじ。時刻を表す語。午後2時頃。午後2時~4時もしくは、午後1時~3時。
ひつじ。未年のこと。
ひつじ。陰暦の6月。
(出典:Wiktionary)
“未”の解説
未(ひつじ、み)は、十二支のひとつ。通常十二支の中で第8番目に数えられる。
前は午、次は申である。
(出典:Wikipedia)
未
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
“未”を含む語句
未亡人
未刻
未明
未通女
未曾有
未来
未來
未練
未見
未萌
未成熟
未来世
未来派
癸未
前代未聞
未知
未熟
未嘗
未生
未決監
...