從來じゆうらい)” の例文
新字:従来
わがくにごと地震國ぢしんこくおいては、地震ぢしん出會であつたときの適當てきとう心得こゝろえ絶對ぜつたい必要ひつようなるにもかゝらず、從來じゆうらいかようなものがけてゐた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かれ反目はんもくしてるだけならばひさしくれてた。しかかれ從來じゆうらいかつてなかつた卯平うへい行爲かうゐはじめて恐怖心きようふしんいだいたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
乍去さりながら日本人にほんじん從來じゆうらい習慣しふくわんでありませうが、斯樣かやうことめて無頓着むとんちやくおほい。責任せきにんおもんずるのねんとぼしい。獨立どくりつしてものをさめてくといふことすこしもい。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
全體ぜんたいからつて、すくなくとも從來じゆうらいの四ぶんの一の手數てかずがなくなるてんからても、前途ぜんと非常ひじやう有望いうばう事業じげふであると、小六ころくまた安之助やすのすけはなしたとほりをかへした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その結果けつか從來じゆうらいたゞ食物しよくもつ材料ざいりようあつめるために、一日中いちにちじゆうほねつてはたらいてゐた人間にんげんが、あつめた食料しよくりよう貯藏ちよぞう出來できるようになり、食料しよくりようゆたかになつたのではたらちから餘裕よゆう出來でき
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
成程なるほど海中かいちう潜行せんかうするがゆゑ潜水艇せんすいてい虚僞うそではないにしても、從來じゆうらい實例じつれいでは、是等これら潜行艇せんかうてい海水かいすい壓力あつりよくめと空氣くうき缺乏けつぼうため海底かいていフヒート以下いか沈降ちんかうするものはまれ
自然主義しぜんしゆぎ風潮ふうてうたゞよはされた年若としわかい少女が(もつともこの自然主義は、新聞しんぶんの三面記事めんきじ術語化じゆつごくわされたものをしてゐません。その頃の生眞面目きまじめ文壇ぶんだん運動うんどうを言つてゐます。)從來じゆうらい習慣しふくわん束縛そくばく
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
かような状態じようたいにある土地とちおいて、從來じゆうらい温泉おんせん湧出量ゆうしゆつりようしたり、したがつて温度おんどのぼることあるは當然とうぜんである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しか從來じゆうらい其麽そんなことは滅多めつたになく、別段べつだんみとむべき弊害へいがいともなふのでもないのであつた。それで普通ふつうどのうちでも彼等かれら滿足まんぞく分量ぶんりやう前以まへもつ用意よういしてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
無論むろん小六ころくよりも御米およねはう年上としうへであるし、また從來じゆうらい關係くわんけいからつても、兩性りやうせいからけるつやつぽい空氣くうきは、箝束的けんそくてき初期しよきおいてすら、二人ふたりあひだおこべきはずのものではなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もし此心得このこゝろえ體得たいとくせられたならば、個人こじんとしては震災しんさいからしようずる危難きなんまぬかれ、社會上しやかいじよう一人ひとりとしては地震後ぢしんご火災かさい未然みぜん防止ぼうしし、從來じゆうらいわれ/\がなやんだ震災しんさい大部分だいぶぶんけられることゝおもふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)